デザインができることの見解

はじめに

「あなたはデザインができるか?」
ウェブサイトやシステム構築の依頼者、あるいは同業者が、質問でたまに使う言葉です。

私にとってこの質問は、とても曖昧で、意思疎通を阻害するもの、主語のない日本語を話すような危険さがあると考えます。
なぜなら、近年では、ウェブサイトやウェブシステムに関係する技術、表現方法の多様化、求められることが増加し、「デザイン=見た目のこと」という暗黙の了解が成立しない場面が多くなっているためです。

ウェブサイトやシステムに直接または間接的に関係する、◯◯デザインの◯◯に入る語句は、次に列挙する単語です。
ヴィジュアル、ユーザーエクスペリエンス、サービス、情報、インターフェース、コンテンツ、グラフィック、インタラクション、コミュニケーション、プロダクト、経営、事業。

また、デザインの意味として、問題解決や主観性だと考える人がいます。

単に「デザインができるか?」と質問をされても、私は何のデザインのことか、質問者がどのような意図を持っているかがわかりません。
何のデザインかを明確にしないと、会話、議論、批評が成立しません。
私は質問を質問で返すことはやりたくはないのですが、何のデザインのことかを明確にする会話をするようにしています。

私が回答可能な質問

下記のいずれかの表現を伴う質問でしたら、私は回答可能です。

質問への回答

画像処理ソフトを使って、デザインカンプを作成できるか?

答えは「できない。」「そもそもしていない。」となります。

私はウェブサイトの構築手法として、昔には有効だったこのやり方はやっていません。
デザインカンプは、ウェブサイト構築における最終成果物ではないので、基本は作る必要はないと私は考えます。
単にコーディングに対する指示書の役目しかないのであれば、他の手段も存在します。

デザインカンプの内容が綺麗でも、ブラウザで表現できない内容、実現できない内容があるのなら、デザインカンプを作る意味はありません。
(もっとも、デザインカンプ自体がきちんと計算されずに、見た目の感覚依存で作成されたものが殆どです。)

グラフィックデザインができるか?

私は画像処理ソフトである、PhotoshopやIllustratorは使用します。
画像補正、コンテンツ画像素材の作成など、自分で可能な限りのことは行います。

しかし、画像処理ソフトを使用できたら、ウェブデザインができるとは到底思っていません。
未だに勘違いをしてる同業者は、「画像処理ソフトでデザインカンプが作れたら、仕事がお終い!」と考えています。
単にグラフィックを作成するのであれば、グラフィック・デザイナーの仕事の範疇です。

UXデザインはできるか?

UXは今まで全く無学ではなく、自習はしています。
しかし、専門家ではありません。
UXデザインを専門とする人と比べれば、知識、技量、経験は落ちます。

ユーザーインターフェース(UI)デザインはできるか?

対象となる利用者を想定して、構築することは可能です。

情報デザインはできるか?

依頼者よりいただいたコンテンツ、あるいは私が考えたコンテンツを元に、情報の優先度の強弱、情報の分割を検討し提示することは可能です。

スタイルシートの設定により、見た目が綺麗なウェブサイトを構築できるか?

もちろんできます。
なんとなくの感覚依存ではなく、きとんと数字で計算された内容で構築を行います。
逆に、スタイルシートの設定ができないと、最終成果物であるウェブサイトは構築できません。

依頼者の課題、要件を踏まえ、ウェブサイトで具現化することができるか?

もちろんできます。
ウェブサイトの依頼者が、結果を出すためのウェブサイトを目指しているので、企画段階からの参画を行います。